カウンセリングってどことなく、たいそうなイメージがあったりしませんか。
何か深い悩みがあっても、カウンセリングを受けるまでもないと、私は長年思っていました。
自分自身がカウンセリングを学ぶようになり、いろいろなケースにカウンセリングのスキルが活用できることを知りました。
今回はカウンセリングのスキルや、カウンセリングを行うにあたって大事なことなどをシェアしたいと思います。
カウンセリングは誰が行う?
カウンセリングは臨床心理士や公認心理士のように大学院で学んだり、国家試験をパスした方が行うものもあれば、民間のカウンセリング認定を受けたカウンセラーによるカウンセリングもあります。
日本では、近年になりやっと、国家認定として公認心理士の資格が誕生しましたが、あらゆる民間団体からカウンセラー資格が乱立されているのが現状です。
長期間研修を受けてからカウンセリングを行う方もいれば、カウンセラーの肩書を得るために、2,3日学んだだけの方もいます。
ですので、誰に心のケアを施してもらうかの選定は慎重にすべきところです。
とはいえ、心の問題はつかみどころのないものでもあります。
経験の浅いカウンセラーであっても、クライアントにとっては優れた先生になり得ることもあるわけで、実力と結果が物を言う世界でもあります。
どんな時にカウンセリングするの?
カウンセリングといっても、さまざまな種類のものがありますし、いろんな意味合いでも使われています。
車の見積もりや家の診断をしてもらう場合でもカウンセリングと言われることもありますね。
ここでいうカウンセリングは心のケアに絞ってお話を進めたいと思います。
そして、日常生活の中で使える、わりとライトなカウンセリングについて紹介させていただきます。
カウンセリングは相手が求めた時に行います。当たり前ですね。
頼まれてもいないのに、こちらから意見や考えを伝えるのは、教え込みや押し付けといいます。
カウンセリングはあくまで、相手が自分ではどうにも解決できない場合に、第三者の手を借りて解決の糸口を探すといったスタンスで行われるものです。
というと、何となくたいそうな感じに聞こえますが、日常生活でも、家族や友人、同僚など、カウンセリングを活用できる場面は意外とあるものです。
カウンセリングで大切なこと

相手の話をじっくり聴く
カウンセリングでなにより大切な基本は、『聴く』ということです。
『聞く』ではなく、『聴く』ことが大切なんですね。
傾聴(けいちょう)といいます。
上手く返答するよりも、しっかり受け止めてあげる方が大事です。
聴く際に気をつけたいことは、相手の意見を全て受け入れるということです。
話を聴いている途中で、自分の考えや意見を挟まない。
全てをまず受け入れることが、相手の心のケアに繋がります。

逆に、評価・分析しながら話を聴き、聴いている途中で、これはこういうことじゃないの?
のように、こちらの判断を押し付けてしまうと、相手の心は一気に閉じてしまいます。
心のケアを行う際は、まず本心を全て話してもらうことが重要です。
内に溜めたモヤモヤをすっきり吐き出してもらうことが、解決への近道です。
そのためには信頼関係を築くことが必要です。
評価、判断せずにただ聴くという作業は、信頼関係を築く上で欠かせないプロセスなのです。
一緒に潜る感じで聴く

傾聴は、聴く練習を積めば誰でもできるようになるものです。
そして、そのクオリティをあげるコツを紹介します。
イメージでいうと、相談者が渦潮の中で溺れているのを想像してみてください。
渦潮がその人の悩みだとします。
多くの人は、岸壁から救命の浮き輪を投げ込みますが、その人には届かずいつまでも渦潮の中で溺れた状態です。
岸壁から、「おーい、だいじょうぶか~?これにつかまれば上がれるよ~」
と、どこか他人事のような声かけになってしまいます。
そうではなくて、渦潮の中に、カウンセラーも一緒に飛び込むイメージで話を聴いてあげることが、相手を助け出す近道になります。
渦潮に飛び込んで、深く潜って一緒に出てくるイメージです。

つまり、どういうことか説明すると、
相手が、「〇〇なことで悩んでるんです・・・」と言ったならば、
自分も相手と同じ感情、表情、姿勢、声のトーンで、「〇〇なことで悩んでるんだぁ・・・」
と、同じ景色を味わいながら話を聴いていきます。
マイナス5のテンションで話していたら、自分もマイナス5からマイナス6.5くらいのテンションで受け止める。
そうしてじっくり相手のしんどさに寄り添って、相手が思いを出し切ると、ふっと浮上してくる感じが見られます。
このように、一緒に潜って、一緒に上がってくる感覚で話を聴けると解決は早くなります。
無理をしない
とはいえ、カウンセリングにおいて、「無理をしない」というのは大原則です。
一緒に飛び込んで、カウンセラーも溺れてしまっては元も子もないですからね。
例えば、相手が物凄くディープなトラウマに悩んでいるケースや、カウンセリングの途中でこれは自分には扱いきれないなと感じた時は、無理をして推し進めるのではなく、カウンセリングを中断して、専門家や上段者に繋げることも大切なことです。
自分で全てを抱え込む必要はなく、自分のできる範囲でのケアで十分なのです。
下手にディープな部分を扱ってしまったことで、トラウマを悪化させたり、最悪のケースを招いてしまうことだって考えられますので、カウンセリングは慎重に事を進めなければいけません。
また、しんどい事象を扱ったために、自分自身がしんどくなったり、生活に支障をきたしたりするケースもあります。
話を聴くだけですが、その後に体を壊すことも実際にあります。
ですので、無理をしないということを大前提にカウンセリングを行うことが大切です。
引き上げようとしない
もう一つ重要なことは、相談者を無理に引っ張り上げないことです。
じっくり、深く聴いて、相手が浮上してきた感じがあっても、一気に引き上げようとすると大きな揺り戻しが来てしまいます。
あくまで、浮上の選択権は相談者が持っていて、いつでも戻れることも選択肢にある状態が望ましいです。
最悪の事態を招く事例を紹介します。例えば、
相談者が悩みを出し切って解決できたと判断し、カウンセラーがコーチングに切り替えました。
じゃあ、次までにこんなことをいくつクリアしてみよう。

その場では、相談者もできる気になって帰宅したものの、現実社会に戻ったとき、できない自分を痛感して再び自分を追い込んでしまう結果を招いてしまったケースです。
こうならないためにも、カウンセリングを行う際は、相手の変化はゆっくりでいいということを前提に持っておかなければいけません。
最後に自分のケアを

カウンセリングを行って、相手のしんどい話を聴き続けると、そのしんどさを自分がもらってしまうことがあります。
ある意味、カウンセラーにとって、カウンセリング後の自分のケアは最重要であると言っても過言ではありません。
専門的なスキルでは、アンカリングという手法を使ってケアをします。
事前に、自分が最高だった状態のイメージや、テンションの上がる思い出をピックアップしておきます。
そして、特定の動き(大きな伸びでも、指を鳴らすでも、ウォーと叫んでジャンプでも何でもいいです)とそのイメージを連結します。

【特定の動きをして、イメージを呼び起こす】を何度か定着するまで繰り返し行います。
パブロフの犬のように、条件反射で、動き=イメージになればアンカリングの成功です。
これをカウンセリング後、一人になった時に行います。
私だと、ウォーと声を出しながら、大きく伸びをして、最高だったときのイメージを呼び起こします。
そうすることで、カウンセリングで影響を受けて下がっていた自分のメンタルを引き上げることができます。
まとめ
このように、カウンセリングにもいろいろな種類や扱い方があります。
近しい人の相談にのるときにも、カウンセリングのスキルは役に立ちます。
そして、相手の心を取り扱う場合は、慎重に進めないといけないことも重要なことです。
最後に、相手の事だけでなく、自分自身のケアも怠らずに行ってくださいね。
より良い生活に役立てていただけたら幸いです。